印刷プレビュー
月刊商人舎 2024年06月

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 レンゴー・プレゼンテーション 


デジタル印刷・段ボール陳列什器で商品が輝く

2024年06月10日

京都・マツモトの「マツモトらしさ」への挑戦

「ゼネラル・パッケージング・インダストリー(GPI)」を標榜するレンゴー㈱が小売業の現場ソリューションに力を入れている。レンゴーは段ボールをはじめとする包装材によって物流を支えるパッケージプロバイダーだ。あらゆる産業のすべての包装ニーズのソリューションを掲げるが、小売業の店頭のニーズに応えるアクションを開始した。段ボールを陳列什器に活用する新たなプレゼンテーションの提案だ。


きっかけはアメリカのスーパーマーケット視察

多くの小売りは安さを強調するために段ボール陳列を多用する。一方で「段ボール陳列は安っぽい」というイメージは払拭しきれない。レンゴーでは段ボールで魅力的な売場づくりが実現できることを目指して、それを証明する実験を企画した。段ボールにきれいなデザインを印刷して、運ぶだけでなく、売るためのサポートツールとして段ボールの新たな価値をつくり上げていくことを目的とした取り組みだ。

パートナーとなったのが、京都府亀岡市に本部のある㈱マツモトだ。京都府を中心にスーパーマーケット25店舗(2024年5月1日現在)を展開するローカルチェーンである。オール日本スーパーマーケット協会の主力メンバーでもある。京都府内に24店舗を配して強固なドミナントを敷き、地元では根強いファンに支えられている。

そのマツモトがレンゴーのソリューションを導入して、店頭を大きく変えようとしている。

「マツモトらしさとは何かをテーマに、商品開発、売場づくり、プレゼンテーション、プロモーションに取り組んでいます」と語ってくれたのは、堀内智之商品第一部部長だ。その一環として段ボールによる陳列什器を採用した。

きっかけが面白い。1年前のことだ。

2023年5月に商人舎主催のラスベガスツアーに松本隆文会長をはじめとするマツモト幹部が参加した。このツアーにレンゴーからの参加者もいた。

ともにスーパーマーケットのプレゼンテーション技術を見て刺激を受けた。

「とくにクローガー傘下のスミスマーケットプレースの青果売場は、段ボールの色を使い分けながら、鮮度感の演出がすばらしかった。こうした売場をマツモトでもつくれないだろうかと思いました。それがきっかけでした」と堀内部長は振り返る。

試作を重ねて4種類の陳列什器を開発

レンゴー担当者はマツモトの意向を知り、帰国後に情報交換を始める。そしてマツモト専用の段ボールケース開発をスタートさせる。

「商品が主役。陳列什器はあくまでも脇役。それでも統一感があって売場全体の鮮度感を演出する什器でなければならない」と、サイズや表示する文字、カラーなどのデザインを何度も打ち合わせした。何種類もの試作品を制作した。

マツモトでは青果は商品搬入時に使われるクレートを多用していた。そこで段ボール什器サイズはクレートの寸法を基本とした。高さは個々の商品サイズによって陳列しやすいように10㎝の浅型と20㎝深型の2種類をつくった。陳列線の高さを調整する際には、この2つを組み合わせる。この2サイズのクレート型の試作品を1000個ずつ制作してテスト導入した。

その過程でレンゴーから段ボールのトレー型什器の提案を受けた。青果の小サイズ商品を小容量で並べるための什器だ。クレート型とトレー型の什器とを組み合わせれば変化陳列も可能になる。

さらにクレートの半分ほどのサイズの正方形の什器もつくった。こうした試作品は実際に作業性を確かめながら改良され、最終的に4種類の段ボール陳列什器ができ上がった。

段ボールのカラー選択はいろいろと試行錯誤した。レンゴーにはデザイナーがいて、デジタル印刷を活用してどんなデザインにも対応できる。結局、青果部門を中心に使うから、「土」や「自然」のイメージがあって、果物や青果の色味が引き立つ濃い茶色の木目 とした。色は1種類だけにして売場での統一感を重視した。その濃い茶色にロゴと「MATSUMOTO」 の文字を印刷して、アクセントとした。

売場ではクレート型の什器を積み重ねて、陳列のベースをつくる。

「クレートサイズと同じなので、これまでの売場のゾーニングも陳列手法も変わっていません。統一されて引き締まって見えるのか、お客さまの中には『売場が広くなった』と感じる方もいるようです」(堀内部長)。

また産地直送で鮮度感を訴求したい商品は、荷姿のクレートや段ボールをあえて使う。たとえば旬のタケノコは、荷姿のまま並べる。それが濃い茶の段ボール什器が並ぶ中で浮き上がってひときわ訴求力がある。

顧客からの評判はいい。「スーパーマーケットのセルフサービスの売場はお客さまにどう見えるかが大事です。『亀岡の土や自然の香りが店づくりに活かされていていいわね』というお客さまからのお褒めの声もいただきました」と、堀内部長はマツモトらしさが演出できていることを実感している。

クレート型の段ボール什器をひな壇上に積み上げていちごをプロモーション。濃茶の段ボール什器とブルーのクレートのコントラストが美しい。

柑橘類の量販平台。主通路沿いのエンドに段ボール什器を配して、コーナーのアクセントにしている。

鮮度感を高めるためにあえて生産地の段ボールと組み合わせて展開する。

マツモトでは背の低いお客さまが商品を取りやすいように陳列線はできるだけ低くする。このとき、高さの異なる段ボール什器が活きる。

段ボール什器で現場の作業効率が高まった

開発から1年後には全店への導入が済んだ。店舗サイズによっても異なるが、クレート型では最大展開量は500個、最小でも100個ほどが店舗に導入されている。

現場では段ボール什器を組み立てなければならないが、現場からは「組み立て作業は簡単で、紙だから軽量で移動も楽」という声が多い。移動が楽だと言っても、段ボール什器を組み立てた後はできるだけ使用する場所を固定している。畳んで収納してもいいが、紙だから傷みやすく、組み立てたままでは保管にスペースを取るからだ。

従来使っていた陳列用のクレートは借り物だったためカラーが異なっていた。企画を展開するときにはクレートに腰巻を巻いて統一感を出していた。それが不要になった。だから「作業効率が良い」と現場の評価は高い。

劣化したら廃棄するが、「段ボールなのでリサイクルできる点も環境に良いと思います」と堀内部長。

もちろん段ボールが紙であるという特性ゆえの課題もある。一つは、クレートに比べて重量が軽いために、固定させるスタック機能はあっても、商品が売れて陳列量が少なくなると段ボール什器は動きやすく、ズレやすくなる。

もう一つは、段ボールは水に濡れると傷みやすいことだ。青果部門ではとくに留意が必要になる。ブロッコリーやアスパラ、軟弱野菜を陳列するときの水分には気をつける必要がある。

それでも「クレートの賃料に比べれば半分のコストで済むようになった」と堀内部長は導入に手応えを感じている。


可動式の台車に段ボール什器を乗せてトマトを展開。

マツモト名物商品をオリジナル什器で訴求

今、マツモトでは「マツモトらしさとは何か」をテーマに掲げて、全従業員がそのことに邁進している。実にワクワクさせる変化を見せているのだ。

売場づくりと同時に進められているのが、オリジナルの商品開発だ。それを象徴するのが国産牛をブランディングした「まごころ牛」である。もともとマツモトには地元京都の生産物を活かした名物商品が数多くある。支持率の高い商品ばかりだ。

「どこにでも売られている商品ではなく、オリジナルの、マツモトにしかない商品を売っていこうというのが松本隆文会長の考えです」(堀内部長)。

国産牛をブランディングした「まごころ牛」。マツモトの名物商品だ。

生産者の思いを顧客に伝えるために、開発者は直接、牧場に出向いている。生産者のこだわりや苦労を聞いて、店頭ではショーカードを多用して商品の特徴を伝えている。「商品の物語を伝えていこう」。それがマツモトの商品開発の基本になっている。

日配品や加工食品、菓子でも京都の生産者の商品は増えている。自社店内製造の惣菜や寿司は他社にはないオリジナル商品ばかりだ。さば寿司と巻き寿司はマツモト名物アイテムである。京風だし巻き玉子やにしんの昆布巻きなど、地元の味を「京のおばんざい」として品揃えする。それらは地元の味としてよく売れていて、他社との差別化になっている。

これらの名物商品はデジタル印刷のオリジナル段ボールによって訴求力が増している。惣菜売場では平台と段ボール什器を組み合わせて名物商品を展開する。段ボール什器はクレート型を用いてベース台をつくり、上部にトレー型や正方形型を置くなど、4種類のオリジナル什器をフル活用している。

またゴンドラエンドや平ケースの両サイドにオリジナル段ボールを配置してクロスMDにも活用する。さらに菓子や加工食品などのおすすめ商品は正方形の段ボール什器に陳列して、エンドや平台で展開する。段ボール什器の使用場所や用途はある程度決めてあるものの、使い勝手がよいこともあって、売場の至る所で使用されている。それが店全体の統一感づくりにもつながっている。

堀内部長は語る。

「アメリカのスーパーマーケットがオリジナルの核商品を強化しているのを見て、社内で名物商品開発への意識がより強まりました。食べておいしいと思ってもらえたお客さまはリピーターになってくれます。そうしたマツモトにしかなくて、おいしい商品を一つひとつ増やして、売場でアピールしていかなければなりません」

オリジナルの段ボール什器は至る所で展開され、マツモトらしい売場づくりに貢献している。

平ケースや平台のエンドではトレー型の浅型什器を使って関連販売する。浅型のため、商品ボリュームが出る。

プロモーションしたい商品は基本的にオリジナル什器を多用する。訴求力があるからだ。

惣菜売場では弁当、揚げ物、焼き物などのコーナーを段ボール什器でつくり上げる。お花見シーズンということもあって緋毛氈を敷いて華やかさを演出する。

マツモト名物のさば寿司と巻き寿司。店内手づくりの絶品寿司だ。

ゴンドラエンドの両サイドでは正方形型のオリジナル段ボール什器をベースにして商品を段ボールカット陳列する。商品を直置きしない、アピールするための工夫だ。欧米のように商品ケースがカラフルで視認性が高ければ段ボールカット陳列も映えるのだが。

レンゴーとの取り組みは一つのイノベーション

最後に堀内部長は「年末の売場づくりを今からどうしようかと考えています」と言う。年末年始商戦ではこれまで正月用の腰巻を巻いていた。段ボール什器に腰巻をどのように付けるかを懸念しているのだ。紙だからテープで貼ると外すときに傷む。レンゴーでは特殊な印刷をすればテープで貼ってもはがしやすい段ボール什器がつくれると提案しているが、腰巻自体が本当に必要なのだろうか。

堀内部長は「販促手法を一から考え直すいい機会だと思います」。

新たなチャレンジには、これまで考えてもいなかった新たな課題が生まれる。その小さな課題の解決こそが「イノベーションの種」である。「デジタル印刷の段ボールで雰囲気の良い売場づくりができる」と考えている レンゴーとの取り組みはプロモーションを見直す一つのイノベーションの種になった。そして全社で取り組む「マツモトらしさ」への挑戦は、こうした一つひとつの小さなイノベーションの積み重ねによって成し遂げられるはずだ。


■お問い合わせ
レンゴー㈱パッケージング部門 開発本部 デザイン・マーケティングセンター マーケティング課 担当/山本
〒108-0075 東京都港区港南1-2-70 品川シーズンテラス
TEL 03-6716-7452
E-mail dmc_marketing@rengo.co.jp

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