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月刊商人舎 2016年06月

 特集のまえがき 


「店は客のためにある。」

――― ポストモダンの考察  〈結城義晴〉

2016年06月10日

※画像は『倉本長治主幹追悼写真集』より「店は客のためにある」〈故倉本長治〉――恐ろしいことに、反対する者は誰もいない。「客は店のためにある」――こんなことを商売人が言い出したら、舛添要一現東京都知事並みの批判の嵐に遭遇する。しかし反論が出ないテーゼほど危険なものもない。第一に、唱えているだけで安心してしまう。第二に、集団志向に陥る。第三に、その結果、形骸化してくる。第四に、イノベーションが生まれなくなる。その危険性を察知したのだろう。長治は、次の言葉を用意した。「店員とともに栄える」鋭い。「店は客のためにある」を英語で表現するなら、Customer Satisfaction。「顧客満足」を意味するだろう。これに対して、「店員とともに栄える」のEmployee Satisfactionをぶつけた。まさに、「ぶつけた」。「従業員満足」である…




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