戻る 印刷
経営

嶋内仁の〈ポスト・モダン〉チェーンストア組織論(56)ナッジ・マネジメント――ノーベル経済学賞受賞者の研究をヒントにして

2017年11月10日

Ⅰ.行動経済学の台頭 本年度のノーベル経済学賞は、シカゴ大学教授のリチャード・セイラーが受賞した。セイラーの専門分野は行動経済学である。旧来の経済学を学問として成立させていた前提は、人間は自己利益の最大化のために経済合理的に行動するというものであり、かかるモデルを経済人(ホモ・エコノミクス)と呼んだ。これに対し、行動経済学では、現実的には、人間はいつも経済合理的に行動するわけではない(限定合理性という)というところを前提としている。すなわち、行動経済学とは、心理学的に観察された客観的事実を数学モデル化していく学問である。ところで、2013年の同賞受賞者であるエール大学教授のロバート・シラーの研究分野は、心理学を応用した行動ファイナンスだったので、これもまた、行動経済学といえるだろう。シラーは、や…




続きを読みたい方はログイン、または購読のお申込みをしてください