嶋内仁の[ポスト･モダン]チェーンストア組織論 (89)ロールケーキを3人で不満なく分ける

Ⅰ．導入問題  筆者が小学生のとき、家で一本物の立派な羊羹（ようかん）をいただいた。「この羊羹を2人で不満なく分けるには、どうすればよいか？」父親が筆者に出題した。 「定規で測る」と答えたら、「目盛のあるものを使ってはいけない」と返された。すぐさま、「糸を使う。羊羹の長さに糸を切って、それを半分の長さに折って、羊羹に当てて切る」と答えた。 糸を使うことは反射的に思いついた。というのも、以前に、包丁なしで羊羹を切る方法として、糸を使うことを教わっていたからである。棒状の羊羹に糸を1回巻きつけ、糸の両端を引けば、羊羹はきれいに切れた。だから、羊羹というだけで、咄嗟に糸が連想された。 しかし、これも不正解。「不満なくというのは、文句が出ないということ。糸を当てたおまえが、ちょうど半分だと主張して切り…