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月刊商人舎 2016年06月

 ドラッカー学会理事・事務局長 井坂康志 


ドラッカーのカスタマー論

マネジメントの哲人は「顧客創造の本質」をこう解き明かした。

2016年06月10日

 1     ドラッカーは顧客をどう見たか 顧客は誰か ドラッカーの考え方では、大切なのは競争ではない。自らの力をふさわしく展開し、実現し、成就していくことである。それを組織的かつ体系的に可能とするのがマネジメントである。マネジメントの役割には本業、人、社会的責任がある。だが、それだけでは単なるコンセプトに過ぎない。では、具体的な成果を促し、自らを実現、成就していくには何を考えるべきなのか。キーワードは「顧客」である。ドラッカーが『現代の経営』(ダイヤモンド社刊)で、事業の本質を「顧客の創造」としたのは、まさにそこである。だが、ドラッカーにおける顧客は範囲が広い。組織の内外かかわりなく、事業によって影響を受ける人々すべてを顧客と呼ぶ。この顧客を鍵概念として、ドラッカーは7つの領域…




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