嶋内仁の〈ポスト・モダン〉チェーンストア組織論 (40)店主とともに滅びる

故・倉本長治商業界主幹の遺訓、「店は客のためにあり、店員とともに栄え、店主とともに滅びる」。店主を組織の長と読めば、会社なら社長（経営陣）である。以下は、「店主とともに滅びる」についての筆者の体験談である。   　　　　　　　 　　　A社にて　　　 　　　　　　　　   20代の頃、筆者はある不動産会社（以下「A社」）の人事部に在籍していた。急成長を遂げた会社で、有名人を起用したテレビCMが連日流れ、当時、資本金は25億円、売上高は1,000億円を超えていた。役員も大物揃いで、建築家の故・黒川紀章氏も取締役として名を連ねていた。当然、株式公開を狙っていた。通常は、まず店頭公開（現在のジャスダック上場）を果たしてから、次に東証二部上場、一部指定替えというステップを踏…