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月刊商人舎 2024年11月

経営哲学の視点から考察する

ドラッカーと伊藤雅俊の「会社は誰のためにあるか」

2024年11月11日

ものつくり大学教授、ドラッカー学会共同代表 井坂康志 1 はじめに――事業と現代 思想家、芸術家だけでなく、あらゆる人間の営みが時代という産湯に浸かっている。ビジネスや経営者もまた例外ではなく、時代の子である。 独立しているように見えても、さまざまな時代環境や人的交流の結果形成された生き物だ。互いに矛盾する要因が無数にあるし、多くの場合それらは共存している。 そんななか、マネジメントの父とされるドラッカーの語ることは今なお頼りになると私は思う。彼は矛盾を恐れない。この世の現実は程度の差はあれ、葛藤と矛盾をはらんでいる。ゆえに唯一絶対の回答などという便利なものはない。それをありのままに認めようとする。 1980年代、経営界では、第二世代、もしくは第三世代とも見られる層が経営リーダーの中に現れた。日…




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