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月刊商人舎 2022年12月

 清水信次エッセイ 


「食のこころ こころの食」

2022年12月09日

月刊食品商業2006年1月号から10月号まで、故清水信次氏執筆のエッセイ「食のこころ こころの食」が連載された。その中から厳選して、ここに2つの文章を再掲しよう。謹んで哀悼の意を表しつつ、清水信次の心に触れ、「食」に携わることの意味を考えたい。  感動と感謝の念にこそ「食の豊かさ」は在る  見渡す限りの焼け野原……。昭和20年8月30日、復員後大阪に戻ってきた私は見渡す限りの焼け野原にぽつねんとたたずむしかなかった。19歳の時。これからどうすればよいのか…。 しかし、その前にもっと現実的な問題にぶち当たった。どうしようもなく、ひもじさに襲われたのである。そこかしこから漂ってくる煮炊きのいい匂いに誘われて、梅田駅前の闇市の中をふらふら歩いていった。露天に立ったにわかづくりの店先では白米が炊かれ、横の鍋には肉汁がぐつ…




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