日本小売業態地殻変動の実相を明らかにする

　全体分析編　 2020年度決算ランキングを読み取る 2021年2月期・3月期(2020年度)の上場小売企業決算は、COVID-19パンデミック真っ最中の「キャズム(コロナ禍による巨大な断絶の溝)」期間の営業実績を示すものである。新型コロナウイルス感染症拡大によって、社会と生活、産業と企業に激変が訪れた。その期間の小売企業活動のすべての成果が表れた決算である。 新著『コロナは時間を早める』では、第三章「日本小売業態地殻変動」の中で「コロナ禍はショウジョウバエ現象だ」と小見出しを立てて解説した。 ショウジョウバエは1日のうちに受精し、生まれ、成長し、死に至る。故クレイトン・クリステンセンは『イノベーションのジレンマ』の冒頭で、短期間に変化を遂げる現象をショウジョウバエの一生に喩えた。 コロナ禍「キャズム」期間にこそ、…