リアルとネットの壁を越え世界を舞台に闘う両雄の最新戦略を追う

経営評論家 保科　篤 「ウォルマート、ジェットを買収へ」――。アメリカ小売業の決算が本格化しはじめた8月3日、米国ウォール・ストリート・ジャーナル（電子版）がスクープを飛ばした。ジェット（Jet）とはインターネット通販の新興企業。2015年7月にサービスを開始して以来、独自の調達・物流手法を用いてユニークな値引きを仕掛け、ミレニアル世代にまたたく間に浸透した。初年度の流通総額は10億ドル（100円換算で1000億円）を達成、月間40万人ペースで利用者を増やす。だからウォール街関係者もこのニュースに注目した。買収額は33億ドル（3300億円）。ウォル マート・ストアーズ（Wal-Mart Stores）は同8日に正式発表した。ウォルマートのネット通販の売上高は約140億ドル（1兆4000億円、2016年1月期）。アマゾン （Amazon.com）の1070億ドル（10…