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経営

嶋内仁の〈ポスト・モダン〉チェーンストア組織論 (44)ナレッジ・ブローカー

2016年11月10日

 Ⅰ.ウォルマートがアマゾンを再提訴標題は、いささか旧聞に属するが、1999年1月6日のロイター配信記事の見出しである。これは、ウォルマート・ストアーズ社が、急成長中のオンライン書店(当時の業態は、こう表現されていた)アマゾン・ドット・コム社に対し、同社が雇い入れた元ウォルマート社の社員数名から得た企業秘密の使用差し止めを求めたものである。普通、知的財産権の訴訟といえば、特許権、商標権、著作権等の侵害であるが、この裁判で争われたのは、転職者個人が有するデータ・ウェアハウス、商品戦略、流通、在庫システムに関する豊富な“知識(ナレッジ)”であった。1999年当時、アマゾンの売上げは16億ドル、ウォルマートは1380億ドルで、86倍の差がついていた。しかし、直近の売上げは、アマゾン1070億ドル、ウォルマート4821億ドルで…




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